【2024年版!】公認心理師国家試験の難易度と合格に必要な対策を解説!
この記事では、まだ公表されていない2025年度 第8回公認心理師国家試験の概要や難易度、傾向と対策を、これまでの試験をもとに予想して詳しく解説します。
【2024年版!】公認心理師国家試験の難易度と合格に必要な対策を解説!
近年、うつ病や引きこもりなど心の病が増加し、社会問題化するようになり、メンタルヘルスの重要性が高まっています。
そのような社会情勢のなか、2017年に公認心理師が誕生し、問題解決が期待されています。
この記事では、まだ公表されていない2025年度 第8回 公認心理師国家試験の概要や難易度、傾向と対策を、これまでの試験をもとに予想して詳しく解説します。
2025年度 第8回 公認心理師国家試験の概要の予想
- ★試験時期:2025年3月頃
- (参考:今後の公認心理師試験のスケジュール(予定))の「第7回公認心理師試験」の「備考欄」に
”この年以降は、毎年3月頃に試験を実施することとし”
との記述があります。) - ★合格基準:合格には総得点の60%以上の正答率が必要です。
- 公認心理師国家試験の総得点は230点なので、138点以上で合格です。
- 試験の難易度によって合格点が補正されることがあります。
公認心理師国家試験の出題基準とブループリント
公認心理士試験の出題基準やブループリントの趣旨は下記のとおりです。
- ★公認心理師試験出題基準とは
- 試験の範囲とレベルを分類し、試験委員が出題に準拠する基準で、公認心理師として業務をおこなうために必要な知識やスキルの到達度の確認に主眼を置いています。
- ★ブループリント(公認心理師試験設計表)とは
- 公認心理師試験出題基準の各項目の出題割合を示したものです。
- 心理職が必要とされる分野、緊急性の高い項目についても優先的に出題されるので、各項目の出題割合を把握して試験勉強の時間配分などを決めましょう。
公認心理師と臨床心理士の違い
公認心理師と臨床心理士の決定的な違いは、公認心理師が国家資格なのに対して、臨床心理士は民間の資格という点でしょう。
また、受験資格は公認心理師が大卒と実務が必要で、臨床心理士は修士課程の修了が必須となっています。
公認心理師取得者の約71%が臨床心理士の資格も保有しています。
今のところ、公認心理師と臨床心理士の業務で大きな違いは見られませんが、今後、医療分野の診療報酬上で国家資格の公認心理師が必要になることも考えられます。
公認心理師の仕事概要
「厚生労働省 令和2年度障害者総合福祉推進事業」の287ページにもおよぶ「公認心理師の活動状況等に関する調査」をもとに、公認心理師の仕事の実情についてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
公認心理師の約73%が女性、約26%が男性です。
勤務先での就業形態について常勤が55.3%、非常勤が38.3%となっています。
就業している分野に関して、保険医療分野が30.2%、教育分野で28.9%、福祉分野で21.3%の順で多く、ブループリントもこの上位3分野への得点配分が多くなっています。
非常勤である理由の54%が「”希望する分野・機関等で常勤の求人がない/少ない”」です。
とはいうものの、収入面で特筆すべき点は、教育分野では非常勤の50%の人の時給4500円~5500円でスクールカウンセラーとして従事していることです。
そのため、非常勤のスクールカウンセラーになれば「育児をしながら働きたい」、「夫の扶養の範囲働きたい」と考えている女性は短時間で効率よく稼げます。
公認心理師は保険医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の5分野など多様なフィールドで活動しており、公認心理師の約45%は複数分野にまたがって仕事をしています。
このように、公認心理師は多様な分野の施設や機関、それらに付随する多様な職種と連携しての活動を要求される多分野連携性が特徴です。
その特性を生かして、非常勤という勤務形態で一分野に収まらない横断的課題にも取り組める下地が整っているとも言えます。
そもそも、人の心理に寄り添って問題解決をはかる職業なので、人が関与するあらゆる分野で心理学的な専門性を生かして活躍できるポテンシャルを有しています。
そのため、「専門性」を中核として「多分野活動性」や「多分野連携性」を発揮し、関係するあらゆる分野において「分野横断的」な活動をおこない、人の心理的な要因が関わる複雑な社会問題を解決できる職種だといえます。
ブループリントでも下記の項目について得点の配分割合が多くなっており、公認心理師としての職責を自覚し、社会からの期待されている役割を深く理解して試験対策に生かすとともにキャリア形成を考えていきましょう。
- 公認心理師としての職責の自覚
- 問題解決能力と生涯学習
- 多職種連携・地域連携
公認心理師国家試験の難易度について
公認心理師国家試験の過去5年の合格率などを参考に難易度について解説します。
公認心理師国家試験の過去5年の合格率
公認心理師国家試験は2018年から始まった歴史が浅い試験なので、まだ合格率は安定していないようです。
2023年 第6回の試験から急に受験者数が激減し、合格率が上昇している理由については「2.2 公認心理師国家試験の難易度」の章で詳しく説明します。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 第6回 | 2,020 | 1,491 | 73.8% |
2022年 第5回 | 33,296 | 16,084 | 48.3% |
2021年 第4回 | 21,055 | 12,329 | 58.6% |
2020年 第3回 | 13,629 | 7,282 | 53.4% |
2019年 第2回 | 16,948 | 7,864 | 46.4% |
公認心理師国家試験の難易度とG区分枠の廃止
2022年 第5回の試験までは、実務経験だけで受験資格が得られ、受験者の大半を占めるG区分の枠(学歴に関係なく実務経験で受験資格が得られる区分)があったので、合格率は46%~58%と低い水準でした。
それが、2023年 第6回にはG区分枠が廃止され、院卒以上の受験者が大半になり、一気に合格率が73.8%に上昇しています。
そのため、大学などの教育機関で教育を受けた受験者にとっては、それほど難しくない試験といえるでしょう。
合格率が一気に上昇して高くなったので、合格率を調整するために今後、試験が難化する可能性もあるので注意が必要です。
合格するために必要な勉強時間
公認心理師国家試験の合格するために必要な勉強時間は300時間程度とされています。
公認心理師国家試験の範囲は広範に及ぶので、試験日が近づいてから慌てて学習をおこなうより、大学などの教育機関に入学した直後から授業と並行して公認心理師国家試験を意識して過去問やブループリントを参考に対策をたてて学習を行っておくとよいでしょう。
令和5年12月1日の時点で公認心理師に必要な科目を開講している大学院もおさえておきましょう。
2025年度 第8回 公認心理師国家試験の傾向
公認心理師国家試験は試験制度が始まってから歴史が浅く、過去問も他の国家試験ほど充実していません。
向精神薬の副作用、PTSD、DSM-5などに関する問題は、頻度高く出題されています。
公認心理士試験の出題基準やブループリント、過去問にしっかりと目を通し、傾向を把握しましょう。
2025年度 第8回 公認心理師国家試験に必要な対策
公認心理師国家試験の出題範囲は広いので、傾向を把握して、効率よく対策します。
4.1 出題基準やブループリントは必ず把握しておくこと
出題に準拠する基準と出題基準の各項目の出題割合を示したブループリントは必ず目を通し、とくに出題割合の高い項目を優先的に学習するようにします。
「令和6年版 公認心理師試験出題基準・ブループリント」では、下記の項目の出題割合が多い傾向にあります。
項目 | 出題割合 |
---|---|
1.公認心理師としての職責の自覚 | 約6% |
2.問題解決能力と生涯学習 | 約6% |
3.多職種連携・地域連携 | 約6% |
14.心理状態の観察及び結果の分析 | 約8% |
15.心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助) | 約9% |
16.健康・医療に関する心理学 | 約9% |
17.福祉に関する心理学 | 約9% |
18.教育に関する心理学 | 約9% |
公認心理師の自覚と、問題解決能力、現場での多職種や地域との連携などのソーシャルスキル、心理状態の観察と分析、支援の方法など現場で必要とされるより実践的な項目の得点配分が多くなっています。
専門知識の暗記だけではなく、実践で必要となる考え方や行動様式など、知識を生かして活用・運用できる知恵をつけるようにしましょう。
また、今後、公認心理師が必要となる健康・医療、福祉、教育分野に関する項目の得点配分も高くなっています。
公認心理師による解決が期待されている社会問題に普段から目を向け、学習した知識やスキルをどのように活用すれば問題解決に導けそうか、問題意識をもち主体的に考え、具体的にイメージしながら試験対策に取り組みましょう。
過去問は最低でも5年分はやり込んでおくこと
過去問と似た問題が繰り返し出題されることがあるので、最低でも5年分はやり込み、傾向を把握して頻出項目は押さえておくようにします。
また、間違った問題にチェックしておき、繰り返し学習する際はチェックした問題のみ確認するようにして、効率よく学習するようにしましょう。
まとめ
公認心理師国家試験は大学や大学院で教育を受けた人にとってはそれほど難しい試験ではありません。
そのため、出題基準やブループリントをしっかりと把握して、過去問をやり込めば、高確率で合格できます。
公認心理師国家試験の出題範囲は広いので、大学や大学院へ入学した直後からコツコツと試験対策を積み重ねておくとよいでしょう。